楽しい話題ではないので、すごく迷いました。
でも、皆さんならこんなときにどうされるのか、
ひとりひとり考えていただけたらそれだけでも意味があるという想いで、
あえてお伝えさせていただくことにしました。

２日前、雨の夕暮れ、私が品川駅に到着したのは18時30分頃でした。
19時からの予定に「ギリギリ間に合うかなぁ〜」と思いながら、
足早にタクシー乗り場に急ぎました。
するとタクシー乗り場は、目を疑いたくなるほど！　の長蛇の列！
「信じられない〜」と独り言を言いながらも列に並ぶしかなく、
予定に間に合わないかもと焦る気持ちになりましたが、
なかなか来ないタクシーをおとなしく待つことにしました。

15分くらい経った頃、私の６人くらい後ろにいらしたご年配のご婦人が、
声を大にして「主人が体調良くないので先に乗せてくれませんか？」と叫んでいました。
駅のタクシー乗り場という場所で、雑踏の中にも響き渡る声！

私はすぐお近くの方が先頭に行ってなんとかするだろうなぁと思っていました。
でも、どなたも……誰も彼もが聞こえないふりをしているのです。
「えー!?　なんで？」
私はその時、この状況ってあり？　私のそら耳だったの？　と、
一瞬、現実なのかまぼろしなのか、わからなくなりました。

その方とご一緒の男性は杖をつき、見るからに立っているだけでもお辛そうでした。
それでも周りの方は誰ひとり対応しようと動く気配がなく、
iPhone を触っていたり、お連れがいる方は話に夢中のふりをしたり。

ちょっと待って！
これがもし自分の身内で、おじいさん、おばあさん、お父さん、
お母さんだったら、ここにいる皆さんは、
それでも聞こえないふりをするのでしょうか？

そう思ったら急に悲しくなって、自然に涙が溢れてきてしまいました。
私は先頭の方のところに行って、事情を話してお願いし、
その年配のご夫婦を先に乗せてもらいました。
自分のいたところに戻ると、周りの方の視線が痛いほどに冷たかったです。

体調が悪いのは、本当かどうかわかりません。
でも困っている人を見て見ぬふり……。
困っているのが自分の身内と考えたら、皆さんはどうされますか？
雨の中を並ぶのは皆平等、と考えますか？

善人ぶるつもりはありません。
立派なことをしたとも思っていません。
私のしたことは偽善かも知れません。

ただ、誰もがもう少しだけ優しい気持ちになって、
心に余裕を持って生きていきるように努めたら、
周りにもその優しさが伝染するんじゃないかなぁ……？　って思うのです。

自分の子供たちには、
少なくとも私と同じくらいの対応はできる人間であって欲しいと願っています。